「東京に美味い豚骨ラーメンは、ない。」と言ったのは福岡出身のたしかなんとかガールとか言うバンドのギターを弾いていた向井なんとかとかいう人だったと思う。独特のギターだった気もするしそうでなかった気もする。ラーメンの件は概ね賛成だ。どこにも、ない。こないだ帰り道に新しくできたラーメン屋が豚骨の看板を掲げていたので入ってみたらどこをどう評価していいかわからないそもそもその定義を疑いたくなるようなものだった。カウンターの脇においてある小さいテレビを見ながらラーメンを組み立てている店員にその定義を尋ねてみたところでたいした主義主張が期待できるわけでもなく僕はその店を後にした。帰り道で考える。自分の中の豚骨ラーメンについて、自分の中でのその他もろもろについて。東京の豚骨ラーメンがおかしいのだろうか、自分の脳の中が歪み狂っているのだろうか。「東京に美味い豚骨ラーメンは、ない。」と言ったのは福岡出身のたしかなんとかボーイズとか言うバンドのギターを弾いていた向井なんとかとかいう人だったと思う。いやギターじゃなくてボーカルだったと思う。切迫した歌い方だった気もするしそうでなかった気もする。